スタンダードの殻を破る 新時代のGSデザイン

今年、コレクションを「エレガンス」「ヘリテージ」「スポーツ」の3つに分けたグランドセイコー。
その中のスポーツコレクションに追加されたのが、9Fクォーツを搭載する「キャリバー9F 25周年記念限定モデル」だ。
「タフ」をテーマに企画・開発されたこのモデルは、スポーツウォッチのパフォーマンスとディテールを持つ一方で、マルチパーパスに使用できる“インフォーマルウォッチ”として、数多くの要素が盛り込まれた。
 2017年にブランドの独立化を果たしたグランドセイコー。続く18年は、コレクションを「エレガンス」「ヘリテージ」「スポーツ」の3つに分けて、キャラクターをいっそう明確にした。その中でも注目すべきが、スポーツコレクションだろう。今までも、グランドセイコーにはスポーティーなモデルが存在した。しかし、本年は、これまでにない野心的なモデルが追加された。 クォーツムーブメントの名機、9Fの25周年を祝ってリリースされるのが、スポーツコレクションのキャリバー9F 25周年記念限定モデルだ。デザインを担当した久保進一郎氏はこう説明する。「このモデルの開発にあたって、グランドセイコーにおけるスポーツとは何かを考えました。いざとなればスペック通りの能力を発揮できる。しかし、リアルスポーツからは一歩引いたところにある」。久保氏が述べたように、このモデルは、生半なスポーツウォッチ以上のパフォーマンスを誇る。防水性能は20気圧に高められたほか、ケース内に軟鉄製の耐磁板を加えることで、耐磁性能は1万6000A/mに向上している。また、リュウズも頑強なねじ込み式だ。だが、これは単なるスポーツウォッチではない。「このモデルの仕様が固まったのは、1年半程前です。その際、GS専用ムーブメントの中でも薄い9Fクォーツを載せようと決めました。ケースを薄くすることで、ストレスフリーな時計を作りたかったのです」(久保氏)。ストレスフリーへの配慮は、デザインにも見て取れる。裏蓋側のケースサイドは、グランドセイコーとしては珍しく、強い丸みが付けられている。薄いケースと相まって、腕馴染みは良好だ。
 その一方で、久保氏はこの時計にスポーティーな要素を盛り込もうとした。「ケースを面で光らせることにより、力強さを強調したかったのです」。例えばケースの上面。力強さを強調するため、あえてフラットに成形され、強い筋目が与えられた。その一方で、厚みを増したベゼルは、側面に強いテーパーをかけることで、上面を細く見せている。メリハリの持たせ方が実にうまい。 同様に、ストラップも力強さが強調された。採用されたのは、グランドセイコー初のコーデュラナイロン。
「より丈夫なケブラーも検討しましたが、表面の質感はグランドセイコーに相応しくなかった。そこでコーデュラを採用しました。レギュラーモデルは1000番、限定モデルは糸の太い1680番を選びました。また、ストラップを固定する定革も金属製に変更しています」 十分な仕様を備えながらも、リアルなスポーツウォッチとは一線を画し、近年、各社が注力するオンオフを問わない〝インフォーマルウォッチ〟に挑戦したスポーツコレクションの新作。新生グランドセイコーに相応しい、大変魅力的なモデルだ。