自社メタル素材を持つ10の時計ブランド(前編)

時計のケース素材にはよく知られているステンレススティール、ローズゴールドなどがある。それではロレジウムやセラゴールド、パワーライトについてはご存知だろうか?
多くの時計ブランドが自社製のケースやムーブメント、文字盤の作りにプライドを持っているが、そのうちの一握りのブランドは長い研究期間を経て、自社製の素材開発に至り、主にケース素材として、ときには時計内部のパーツにもその素材を使用する。開発に成功した会社はどこも、より耐久性や軽量性に優れ、加えて傷も付きにくい素材を目指し、新しい合金の開発に力を注いできた。ここに挙げるのは、異なる金属を融合させることによって自社製の合金開発に成功した10のブランドである。前後編に分けてお届けする。  ロレックス” title=”ロレックス”>ロレックスによって開発されたメタル素材のひとつに、904Lステンレススティールと950プラチナを組み合わせた「ロレジウム」がある。このメタル素材は、ロレックス「ヨットマスター」のオイスターケースに使用されている。 ロレックスはセラクロムという素材も開発している。この素材は2013年にバーゼルワールドで発表されたロレックス「サブマリーナー」と、コスモグラフ デイトナ50周年記念として発表された「オイスター パーペチュアル コスモグラフ デイトナ」のベゼルに使用されている。セラクロムは非常に硬く、腐食にも強いセラミックスだ。セラクロムのベゼルは数字や目盛りがエングレービングされ、PVD加工によるプラチナの薄い層によってコーティングされている。ロレックスはセラクロムを、2017年発表のデザイン変更が加えられたデイトナのベゼルにも使用している。  
 50周年記念ロレックス「オイスター パーペチュアル コスモグラフ デイトナ」は、ムーブメントのヒゲゼンマイにブルーのパラクロムという耐磁性を持つロレックス独自の素材を採用している。ニオビウムとジルコニウムと酸素で作られた合金であるパラクロム製のヒゲゼンマイは、気温の変化に対して安定性があり、また衝撃による影響を受けにくい。ロレックスよると、その精度は通常のヒゲゼンマイに比べて10倍の耐衝撃性があるという。  オメガはセラミックスと18Kゴールドを融合させたセラゴールドの開発に何年もの時を費やしてきた。セラゴールド製作に使われる技術は、セラミックスにおける18Kゴールドの成長性と相性の良さを現実化するもので、オメガ「シーマスター プラネットオーシャン クロノグラフ」に見られるように、セラミックス製ベゼルになめらかな感触のゴールドの数字などを配することのできる技術でもある。 オメガの「コンステレーション セドナ™ ゴールド」は、スウォッチグループが100%自社で開発したゴールドと銅そしてパラジウムを合わせた合金で、赤みのある色合いが長持ちする18Kセドナゴールドのケースを採用している。この合金は最低75%のゴールドを含み、そこに緻密に計算された銅が配合されることによって鮮やかな赤い色合いを生み出し、またパラジウムが加えられることによって素材の光沢や耐久性を高めている。
 セドナの名前は、海王星外に位置する天体に由来する。この天体は海王星よりも外にあるため、太陽から最も遠い軌道を回っており、その表面は太陽系の中でも最も赤い色をしているもののひとつとして知られている。  「フュージョン」という哲学の一環として、ウブロはいくつかの独自の素材を開発してきた。その中にプラチナ含有で退色しにくく、鮮やかな赤みのあるキングゴールドと、マグネシウムとアルミニウムの合金であるウブロニウムがあり、その他にマジックゴールドとして知られる、硬くキズの付きにくい18Kゴールドも生み出している。
 75%の純金を含有するマジックゴールドは、溶かしたゴールドを(無数の穴がありゴールドよりも硬い)セラミックスと融合させることによって作られる為、ゴールドよりも硬い素材となる。  ユリス・ナルダンは自社素材ダイヤモンシルを、ユリス・ナルダン「マリーン クロノメーター マニファクチュール」に使用している。 内包するキャリバーUN-118のエスケープメントは、ユリス・ナルダンとスイスの企業シガテックの共同開発によるシリコンをベースとした人工ダイヤモンド、ダイヤモンシル製である。(後編へ続く)