ヒストリカルピースにインスパイアされた現代の時計(後編)

 多くの時計愛好家が知っているように、パテック フィリップはワールドタイムの長い歴史を持っている。ワールドタイム機構を1930年代後半に時計師ルイ・コティエと開発し、1959年にはトラベルタイム機構で特許を取得した。あまり知られていないことだが、このブランドが航空業界黎明期に「サイデロメーター(またはアワーアングル)」を発明することでも、パイロットウォッチ発展の歴史に影響を与えている。そのうちの2本は現在ジュネーブのパテック フィリップ・ミュージアムに収蔵されている。またこれらが「カラトラバ・パイロット・トラベルタイム Ref.5524」のデザインのインスピレーションの源ともなっている。このように「カラトラバ・パイロット・トラベルタイム Ref.5524」は、(ホワイトゴールドケースではあるが)20世紀初頭のパイロットウォッチを彷彿とさせる外観を持っている。パテック フィリップのキャリバー324 S C FUSを搭載し、パイロットにとって使い勝手の良い第2時間帯表示を備えている。ニス塗装ブルーの文字盤を含む外観は、1930年代のアメリカの戦闘機にインスパイアされており、コントラストの効いたステッチの施されたヴィンテージ・ブラウンのカーフストラップは、1930年代のパイロットたちが身に着けていたレザーベルトを想起させる。
 グランドセイコー「62GS 復刻デザインモデル」は、1967年に発表されたグランドセイコー初の自動巻き時計「62GS」をベースにしている。近年新しい解釈で発表された2モデル、1967年の「44GS」や1964年の「セルフ データ―」などのヒストリカルコレクションと同様に、オリジナルを忠実に反映しており、このブランドのファンであればすぐにそのディテールが見て取れるデザインだ。ザラツ研磨が施された鏡面仕上げのケース、ベゼルのない文字盤開口部、特徴的な鋭いエッジの針、そして手巻きをする必要がないことを使い手にスマートに伝える4時位置のリュウズなどがそれである。またオリジナルと同様にケースバックの獅子のエンブレムと、文字盤の「ダイヤショック」(セイコーの耐震技術)のロゴなどを受け継いでいる。グランドセイコーの機械式キャリバー9S65を搭載した自動巻きで、約72時間のパワーリザーブを持つ。
「オリス ダイバーズ65」は、約50年前に発表されたオリスのダイバーズウォッチのリバイバルである。1965年のモデルは真鍮製ケースにクロムメッキが施され、プレキシガラスの風防を備え、両方向回転ベゼルとプラスティックのストラップが付属していた。21世紀の再解釈により新しいモデルのケースは直径が40mmとなり、素材は汗に強いステンレススティール製となっている。曲線を描く反射防止加工を施したサファイアクリスタル風防、(ダイバーにとって)安全な逆回転防止機能付きのベゼルが採用されている。「オリス ダイバーズ65」のベゼルはブラックカラーのアルミニウムインレー、針とインデックス(オリジナルではチタンが使われていた)には「ライト・オールド・ラジウム」と呼ばれる蓄光塗料が塗布され、そのベージュカラーがブラック文字盤とのコントラストを際立たせている。ステンレススティール製ケースバックには、オリジナル同様オリスのエンブレムが刻まれ、リュウズはねじ込み式を採用し100mの防水性を確保している。またこのモデルにはブラックカラーのファブリック製NATOストラップとSSブレスレット、そしてラバーストラップが用意されている。ムーブメントはセリタSW200をベースにした、オリスの自動巻きキャリバー733が搭載されている。
本田雅一、ウェアラブルデバイスを語る/『Apple Watchの市場規模』 高級時計を取り扱う全国の正規時計販売店をご紹介。各店が行うフェア情報やニュースもお届けします!その年の新作モデルや、機構、仕上げの完成度など、毎回決められたテーマの中から、優れた10本を時計ジャーナリストたちが選出します。クロノスドイツ版の人気連載「TEST」の翻訳記事。腕時計のデザイン、機能などをポイント性によって評価します!時計の部品、機構、ブランド名など、基礎から専門用語まで、広範囲にわたって解説します。時計の知識を深めるための用語辞典です。2018.11.062018.08.20