ぜんまい知恵袋〜時計の疑問に答えます〜/時計の夜光塗料が光らなくなった

 暗がりでも時間を読み取りやすくしてくれるのが、夜光塗料。でも、古い時計の中には、すでに光らないものもあります。理由は、自発光のトリチウムを使っているため。放射性物質のひとつであるトリチウムは、崩壊しながら発光するβ線を放射し、やがて発光しなくなります。その期間は約10年間。トリチウムを使った時計は、文字盤の6時位置に「T」マークがあります。なお、トリチウムはかなり安全な物質ですが、基準の厳しい日本では、β線の総放出量を25マイクロキュリー(=925キロベクレル)以下にすることが求められていました。このようなトリチウムを使った場合、文字盤6時位置下の表記は「T25」となります。 一方、今使われている夜光塗料には、自発光ではなく、外からの光を蓄積して発光する蓄光塗料が多く用いられます。そして、その大半は根本特殊化学のN夜光(ルミノーバ)です。これら蓄光塗料の素材は、主にアルミ系。そのためトリチウムのように崩壊することなく、熱や水にも強いです。また、経年劣化によって塗られた塗料の色が変わることもありません。ただし、蓄積した光を放つので、時間がたつとだんだん光量は落ちてきます。その場合、事前に光を十分に当てておくとよいでしょう。 なお、かつてルミノーバでは緑色の蓄光塗料しか作れませんでしたが、技術の進歩に伴い、今では白の蓄光塗料や、赤、黒といったものも見られるようになりました。ルミノーバを使った文字盤には、「L」の表記が入っています。