DAN HENRY 愛好家が作り上げた次世代のベーシックウォッチ

時計好きの間で注目を集めるエントリーモデルがダン・ヘンリーだ。
長らくウェブサイトでの直販のみだったが、日本に正式輸入されることとなった。エントリープライスを感じさせない丁寧な作り込みや、アンティークウォッチに範を取ったデザインは目の肥えた時計好きをも魅了する要素に満ちている。もちろん価格は、相変わらず極めて戦略的だ。 ウェブクロノスで取り上げるや、たちまち話題となったダン・ヘンリー。2万円台からという抑えた価格ながら、よく練られたディテールと、かつての傑作に範を取ったデザインは、時計コレクターたちの耳目を集めるには十分だった。 ダン・ヘンリーの時計が、新興メーカーの中でも頭ひとつ抜きんでた完成度を持つのは、創業者が時計の蒐集家だったためである。
「新しい時計を買うことが難しかったので、私はアンティークウォッチの蒐集家になり、やがて膨大なコレクションを持つようになった」(ダン・ヘンリー)。そのコメント通り、彼は今なお驚くようなヴィンテージウォッチを多数持っている。
「しかし持っていない時計を見つけるのはもはや難しいし、あっても買う資金はない。時計の値段はどれも上がり過ぎた。であれば、自分好みの時計を作ろうと考えた」。10歳から時計の蒐集と修理が趣味だったと語るヘンリー。彼がオリジナルウォッチを作るようになったのは、自然の成り行きであった。 コレクターだったヘンリーは、まず友人向けにオリジナルウォッチを販売し、やがて時計メーカーを立ち上げることとなった。しかし彼は、時計作りの規模が大きくなっても「自分が欲しい時計を、買える価格で提供する」というスタンスを崩さなかった。搭載するムーブメントは、ミヨタ製のクォーツクロノグラフかセイコー製のクォーツまたは自動巻きだ。ケチをつけるコレクターはいるだろうが、価格と信頼性を考えればベストの選択だろう。また、どのモデルも数量限定で、しかもワンショット販売だ。数十万円の価格帯ならいざ知らず、エントリーモデルで、こういう方針を貫くブランドはまずないのではないか。  時計好きが立ち上げたブランドだけあって、付属品も気が利いている。時計を収めるのはボックスではなく、キャンバスとレザーで出来た小さなポーチ。旅行に持っていくにはうってつけだ。そして、1970以外のモデルには、交換式のストラップが付属する。 では、作りはどうなのかというと、実によく出来ているのだ。例えば、新しく加わった「1970」の40㎜サイズ。風防はサファイアではなくミネラルガラスだが、針の側面にまできちんと色が回っているし、裏蓋の刻印も、数十万円の時計並みに深い。エッチングで浅いロゴを施すメーカーが多い中、ダン・ヘンリーはかつての時計に同じく、鍛造で立体的な刻印を施した。 クォーツムーブメントを載せた「1963」や「1947」も、ダン・ヘンリーの非凡な見識を感じさせるモデルだ。目を引くのは、適切な場所に置かれたスモールセコンドとサブダイアル。この位置を実現するため、ダン・ヘンリーはわざわざ適切なエボーシュを探したとのこと。とりわけ、1963が搭載するミヨタ製のクォーツクロノグラフは直径が15リーニュもあるため、サブダイアルの間隔は1930年代のクロノグラフ並みに広い。この時計を見せられて、定価が2万9000円と分かる人はいないのではないか。 もうひとつ、ダン・ヘンリーというブランドのスタンスを感じさせるエピソードを紹介したい。基本的に、ダン・ヘンリーの時計はネットの直販しか行っていない。しかし、この時計に魅せられた、恵比寿で腕時計やウエアを扱うショップ、コンティニュエ エクストラ・スペースだけは、例外的に店舗でも販売している。普通、直販限定モデルを店舗で売る場合、価格は倍にするのが常識だ。しかしダン・ヘンリーは、できるだけ直販と近い販売価格を求めたのである。 良質な上、リーズナブルで、時計好きの心をくすぐる要素に満ちたダン・ヘンリー。ご興味がある方は、ぜひ恵比寿のコンティニュエ エクストラ・スペースで実物を確認して欲しい。価格を超えた高い完成度と、コレクターをにやりとさせる要素は、時計好きならばきっと刺さるはずである。 コンティニュエ エクストラ・スペースContact info: コンティニュエ エクストラ・スペース ☎03-3792-8979