リシャール・ミル 2018超速報

 とどまるところを知らない快進撃を見せるリシャール・ミルから、SIHH発表モデルの先行情報が飛び込んできた。今年のハイライトはケーブルサスペンションシステムを進化させた、2代目パブロ・マクドナウモデル。ポロ競技中に予想される“あらゆるアクシデント”に対応する、新たなる甲冑である。  耐衝撃性を追い求めたリシャール・ミルの作品は、過去にもいくつか例がある。これを書いている2018年1月初旬の段階で、最高峰は1万Gsの耐衝撃性を持つ「RM 27-03 トゥールビヨン ラファエル・ナダル」。ただしプロテニスプレイヤーであるナダルモデルが、特に軽量化を課題のひとつとしてきた背景には、時計が受ける衝撃がラケットを通した“間接的”なものであるからだ。これは初代ナダルモデルの「RM 027」が、サファイアクリスタル製の風防を廃して、軽量なグリルアミド樹脂を用いたことからも理解できる。対してポロプレイヤーが使う時計が受ける衝撃は、もっと直接的なものも含まれる。もちろんマレットを通して伝わる衝撃も極めて大きなものだが、競技中の接触など、時計が直接叩きつけられるような衝撃にも耐えなければならない。  2012年に最初のパブロ・マクドナウモデルとして登場した「RM 053」は、実に分かりやすい解決法を示した。風防の面積を極力小さくして、輪列部分を30度傾けたトゥールビヨンムーブメントを搭載。さらにケース全体をチタンとチタンカーバイド製の装甲で覆ったのである。おそらく歴代モデルで最も特異なスタイリングを持つ、“リシャール・ミルの鉄仮面”だ。
 SIHHでベールを脱いだ2代目パブロ・マクドナウモデル「RM 53-01」では、ポロ競技で生じるあらゆる衝撃に耐える他に、ひとつの命題が加えられた。すなわち“ムーブメントが見えること”である。厚さ16.15mmもの分厚いカーボンTPTʀ製ケースに搭載されるトゥールビヨンムーブメントは2枚の地板を持ち、独自のケーブルサスペンションを介してフローティングマウントされる。ケースに加わった衝撃を直接ムーブメントに伝えないこのシステムにより、RM 53-01は5000Gsの耐衝撃性を実現している。
 さらにRM 53-01には、もうひとつ安全装置が追加されている。ステットラーと共同開発したサファイアクリスタルのラミネート加工である。ポリビニール製の薄膜を、2枚のカーブドサファイアクリスタルで挟み込んだ特殊構造は、もし風防が割れるような衝撃を受けた場合でも、粉々に飛び散ってムーブメントやプレイヤーを傷つけるようなことはなく、クルマのフロントガラス同様にヒビが入るのみ。さらにUVカットと無反射コーティングが施され、使い勝手にも配慮されている。  一方、ムーブメント自体に耐衝撃構造を組み込んだ「RM 53-01」では、輪列設計自体は極めてオーソドックスな手法を採っている。ただしグレード5チタン製の地板を、輪列を支える中央部と、ケースに固定するための外周部に分割し、両者を独自のケーブルサスペンションシステムで繋ぐ。中央部の地板を吊すための、“RZ1”と呼ばれる直径0.27mmのスティールワイヤー2本は、4カ所の張力装置で支えられる。ワイヤーのテンションは、張力装置に備えられたスプラインスクリューによって調整されるが、張り具合を均等化させるプーリーは10カ所に設けられており、ワイヤーの取り回しもより複雑になった。ムーブメントサイズは縦31.94×横30.26mm、厚さ6.35mm。  ミトレラージュ(機銃掃射)と呼ばれる手法でセラミックケースに穴を開け、ゴールド製の爪を埋め込むことで、初のダイヤモンドセッティングを実現。
自動巻き(Cal.CRMA2)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約50時間。ブラックセラミックス×18KRG(縦45.66×横31.40mm)。50m防水。予価2310万円。

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