「カリテフルリエ」が証す〝神の領域〟のディテール

トリック カリテフルリエには名機Cal.PF331-QFが搭載される。基本設計は約20年前にさかのぼるが、その実力はカリテフルリエをパスしていることからも明らかだ。高級機らしく、リュウズの感触は滑らかで、ローター音も極めて小さい。32石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約55時間。フリースプラングテンプ搭載。 実用性と審美性を両立した時計は、時計好きにとって最も魅力的な存在だ。では、そのふたつを高度に両立した時計は存在しないのか。現時点で、その理想に最も近いのが、パルミジャーニ・フルリエのカリテフルリエモデルだろう。カリテフルリエ認証を取得する強靱な基礎体力に加えて、同社ならではの繊細な仕上げは、この実用時計に非凡な格調をもたらした。 戦略的な価格と良質な仕上げを両立したパルミジャーニ・フルリエの「トリック クロノメーター」。ベーシックなモデルも魅力的だが、今年新たに追加された「トリック カリテフルリエ」はいっそう、好事家を刺激するディテールに満ちている。 最も大きな違いは、「ライスグレイン模様」のギヨシェ文字盤。一見、プレスに思えるほど精緻だが、〝QALITEFLEURIER〞の枠を囲うギヨシェの切れ込みは少し不揃いだ。それが、プレスではなく彫り込んだ本物のギヨシェであることを証す。 ギヨシェの仕上げ自体も、現行品とは思えないほどユニークだ。今や、各時計メーカーが好むのは、ブラストを強く当てて、切削時のバリだけでなく、切削痕も消したギヨシェ仕上げである。対して、パルミジャーニ・フルリエは、ブラストを弱く当てて、ギヨシェのニュアンスを残した。手間はかかるが、エッジの切り立った見た目は、いかにも古典的だ。また、下地のギヨシェを覆わないため、退色を防ぐクリアもごく薄い。そして、インデックスは別部品のアプライド。もちろん接着ではなく、高級機の定石に従って、2本の脚で固定されている。 (右)カルパカリテフルリエ
こちらは、カルパに加わった「カリテフルリエ」モデル。トリック同様、優れた仕上げに加えて、湾曲したケースは装着感にも優れる。また、全長が縦42mm強しかないため、細腕にもよく馴染む。自動巻き(Cal.PF442)。29石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。フリースプラングテンプ搭載。18KRG(縦42.3×横32.1mm、厚さ10.1mm)。30m防水。250万円。 このインデックスも、ギヨシェ文字盤同様、見る価値がある。普通、アラビックインデックスを別部品にした場合、側面の仕上げは粗くなる。というのも、形状が複雑なため、側面まで手が回らないからだ。対してパルミジャーニ・フルリエは、込み入ったアラビックインデックスの側面も、ひとつひとつ磨いている。なお、トノーシェイプの「カルパ カリテフルリエ」は、アラビックではなく、標準的なバーインデックス。トリックに比べてシンプルに見えるが、長いバーインデックスに、歪みなくダイヤモンドカット仕上げを施すのはかなり難しい。やはり、このモデルの文字盤も手作業によるギヨシェ仕上げだ。 トリック カリテフルリエの搭載するPF331-QFとカルパ カリテフルリエのPF442、どちらの仕上げも、文字盤同様凝っている。例えば、受けに施されたジュネーブ仕上げ。もともと同社のジュネーブ仕上げは、高級機らしく弱めに施されている。そのため、強い光に当ててもギラリと光ることがない。加えて本作では、縦方向にジュネーブ仕上げを施したのち、横方向にもジュネーブ仕上げを施している。格子状に見えるジュネーブ仕上げは、おそらく世界初だろう。普通、こういった仕上げを与えると、表面は荒れてしまうが、そもそもの仕上げが弱いため、表面はいかにも高級機然としている。 ムーブメントも、今や緩急針のないフリースプラングテンプに進化した。もともとPF331とPF441系の精度は良好だったが、フリースプラングの採用で耐衝撃性はさらに向上している。この高級機が、カリテフルリエの規格をクリアした理由のひとつだろう。 信頼性を評価するクロノフィアブルテストと、着用シミュレーションのフルリテストを施すカリテフルリエは、現時点における最も厳格なテストのひとつだ。トリック カリテフルリエとカルパ カリテフルリエは、このテストをパスしているのみならず、この価格帯では最上級の凝った仕上げを持っている。審美性と実用性を高度に両立させたトリックとカルパの「カリテフルリエ」モデル。時計好きならば、必見の新作だ。  Contact info: パルミジャーニ・フルリエ ☎03-5413-5745※「カリテフルリエ財団」につきましては次のサイトをご参照ください。