デザインキング、ロレックス「デイトジャスト」(後編)

サブマリーナーやGMTマスターIIは「ツールウォッチ」のプロトタイプと呼ばれ、頑強で機能的であるようにデザインされてきた。その他のオイスターコレクションはもっとエレガントで、何かのアクティビティに特化したものではない。他のどのブランドよりも、ロレックスは自社のアイコニックなデザインにこだわることにより、成功を収めてきた。
デザインキング、ロレックス「デイトジャスト」の後編をお届けする。(/)  サブマリーナーやGMTマスターII以外のオイスターコレクションの多くに、オベリスク針が採用されている。またロレックスは、いくつかのプレシャスメタルケースのモデルにクロコダイルストラップを組み合わせている。さらに多くのバリエーションを見ることができる。デイトジャストは、放射状のアラビア数字やローマ数字、バーインデックス、ダイヤモンドスタッドインデックスに加え、豊富な文字盤のカラー、フルーテッドベゼルやかまぼこ型のベゼル、そしてオイスター ブレスレットとジュビリーブレスレットなど、最も多くの仕様を提供している。デイデイトとスカイドゥエラーは、狭い範囲ながらほぼ同じ仕様である。デイト無しのオイスター パーペチュアルのカラーバリエーションも豊富である。 目盛り付きのベゼルを採用した中でも特に、サブマリーナーとGMTマスターはそのアイコニックな地位を享受しており、結果として仕様変更は非常にゆっくりと長い時間をかけて行われてきた。対照的にエレガントなモデルになると、あまり多くの本数の販売は期待できない特定の市場向けに、カラーリングで冒険をしたりと流行に乗った自由度の高いバリエーションが見られるようになる。この能力がロレックスを成功に導いてきたのである。サブマリーナーは良く見かける時計だが、同時に長い間、ゴールドケースのデイデイトの、グリーンカラーの文字盤とストラップ仕様の時計をした女性が、全く同じものを別の女性の手首に見かけるような事態を回避できてきたように思える。他にもロレックスはさまざまなゴールドまたはツートーンのケースのバリエーションを展開することによって、時計の単価を上げてきた。もちろん文字盤のカラーは全体との統一感を成してきた。また興味深いことに、2015年から展開されている、男性の手首にもなじみやすい39mm径のオイスター パーペチュアルのデイト表示無しのモデルにより、低価格帯のロレックスの時計はエレガントな階層にも見られるようになった。ここではトレンドを取り入れたブルー文字盤なども展開している。 多くのバリエーションを持ちながらも、エレガントなモデルもロレックスの時計として認知されやすい。これはさまざまな文字盤とベゼルが、ロレックスの典型的なものであるところが大きい。特徴的なのは、放射状に配されたローマ数字またはアラビア数字、バーインデックス、ダイヤモンドスタッドインデックス、フルーテッドベゼルや丸みを帯びたベゼルなどである。そして普遍的なオイスターケース、オベリスク針、サイクロップレンズなども見ることができる。これらの要素で、認知度が高まるのである。
 他のどのブランドよりも、ロレックスは自社のアイコニックなデザインにこだわることにより、成功を収めてきた。 コスモグラフ デイトナとヨットマスターIIのデザインは例外的であることとして有名だ。それぞれオベリスク針を備えているが、インデックスは異なる。コスモグラフ デイトナの方は独特である。インデックスはサブダイアルの目盛りと対照を成すように小さなボートのような形状をしており、タキメーターも特徴的だ。このモデルは他のモデルにはない独自の様式を確立している。ヨットマスターIIと、コスモグラフ デイトナとの違いは明らかだ。このモデルは秒積算計のインダイアルのベゼルにカラーリングを施し、ブロック型のインデックスを配し、ねじ込み式ではないプッシュボタンを備える、かなり大胆な印象だ。そしてブルーとホワイトの配色が航海を想起させるのである。結論として、ボートレース用のクロノグラフとして海で活躍する腕時計となる。 ロレックスは数々の明確なデザインの特徴を生み出してきた。このブランドは、機能性に起因する要素に常に忠実であり続けた。例えばメルセデス針やサイクロップレンズのようなものである。こういったディテールがロレックスをツールウォッチのメーカーとして印象付け、同時にすぐにそれと気付かせるまでに認知度を確実なものとした。ジュネーブ界隈に本拠地を置く意思決定者たちは、新作にも馴染み深い特徴を取り入れる。これによって新作の展開に対し、包括的なブランドの全体像を与えるのである。よりエレガントなモデルでは、ロレックスは時代の流行を組み込み、カラーや文字盤を幅広い選択肢から好きに取り入れる。購入したい人が、ベゼルや文字盤などのいくつかのオプションを選択しても、その選択肢自体が充分に広く知られており、ロレックスの時計として容易に認識されるのである。  この戦略は、ロングセラーを誇ったデイトジャストIIの後継機として2016年に発表されたデイトジャスト 41でも明らかにされた。ロレックスは、息の長いモデルで採用されていた41mmのケース径、良く知られているバーインデックス、フルーテッドベゼルや丸みを帯びたベゼル、オベリスク針をこの新作に採用した。加えて、デイトジャストIIのブレスレットはオイスターブレスレットのみであったことに対し、デイトジャスト 41ではオプションとしてジュビリーブレスレットを用意するという、ブレスレットに別の選択肢を与えた。 一方、自動巻きキャリバー3235は完全に新しいムーブメントだ。香箱の構造を一新し、クロナージーエスケープメント採用の効率化によって、この自社製ムーブメントは約70時間のパワーリザーブを有する。他のロレックスのキャリバー同様C.O.S.C.の認定を受け、精度はロレックスが2015年に独自で導入したC.O.S.C.を超える標準以上に設定されている。既定の日差±2秒以内で時を刻むタイムピースだけが工場から出荷されるのである。結果としてロレックスは日差-4~+6秒のC.O.S.C.より厳しい精度基準を保持していることとなる。 他のどのブランドよりも、ロレックスは自社のアイコニックなデザインにこだわることにより、成功を収めてきた。一部のモデルは60年近く変更が加えられず、それと同時にデザイン様式の宝庫でもある既存モデルから、部分的着想を得ながら新作も発表し続けてきた。確実なスタイルと組み合わされた、明確で信頼感のあるブランドメッセージが、唯一無二のロレックスという時計ブランドの成功を支え続けている。