クリスティーズで行われたモリッツ・グロスマンによる特別なオークション


 モリッツ・グロスマンは2010年に最初のベヌーを世界限定100本で発表した。そのうちの1/100はこれまで決して販売の場に姿を現さず、グラスヒュッテの工房に留め置かれていた。復興10周年を記念するこの機会に、クリスティーネ・フッターとそのチームはこの重要な時計を市場に放出した。まさにまだ若いブランドの最初の10年を記念する象徴としてふさわしい1本であった。



「ベヌー・パワーリザーブ」はモリッツ・グロスマン旗艦コレクションの次世代モデルを代表するものである。リニア方式のパワーリザーブ表示や新しく設計された完全自社製テンプ(グロスマン・バランス)、プッシャー付き巻き上げ機構や更に注力された針合わせ機構、アガキを持たせたパーツの組み立てによる秒針停止機能など、いくつかの独自の技術を特徴としている。3ピース構造のケースは細いベゼルを備えており、シルバーカラーの文字盤には、分表示、アラビア数字のインデックスと、先端が細くシャープな形のスティール製の針が合わせられている。針は焼き戻しによりブラウンバイオレットに発色させている。6時位置にはスモールセコンド、そしてこの時計の注目すべきバー形のパワーリザーブ表示が、文字盤12時の下に収まっている。「ベヌー・パワーリザーブ」が発表された当時は3種類のケース素材が用意されていたが、再興10周年を祝うこの機会では、モリッツ・グロスマンはケースサイドにエングレービングを施したローズゴールド製ケースモデルを発表した。
 モリッツ・グロスマンは初のハイコンプリケーションである「ベヌー・トゥールビヨン」を2013年後半に発表した。この時計は独特なデザインのレギュレーターによる時間表示をしており、6時位置には3分間で1回転するフライングトゥールビヨンを備えている。特許申請中のストップセコンド機構はバランスホイールを人毛でできたブラシで止めるというものだ。再興10周年を祝うこのオークションでは、異なるカラーとケース素材の組み合わせによる3本のベヌートゥールビヨンが出品された。実物を目にした私の印象に特に残っているのは、モグラ色ともいえるブラウン文字盤でケース素材がホワイトゴールドのものであった。チタン製ケースに明るいオレンジ文字盤のモデルや、ホワイトゴールド製ケースに深いグリーン文字盤のモデルもそれぞれに味があった。
 開催月が12月という時期だったことに合わせて、モリッツ・グロスマンはホリデーシーズンの要素を詰め込んだふたつのモデルを、時計作りに対する独自の姿勢のハイライトとして盛り込んだ。「アトゥム・ピュア・サンタクロース」と「アトゥム・ハイアート・クリスマス」の2本だ。
「アトゥム・ピュア・サンタクロース」は、冬の夜空を背景にトナカイのソリに乗るサンタクロースが、ステンレススティールの文字盤に型抜きで描かれている。外周リングには8つの鮮やかな赤いインデックスが配され、ポリッシュ仕上げにレッドカラーのハイセラム樹脂素材が合わせられたステンレススティール製の針が組み合わされた。
 「アトゥム・ハイアート・クリスマス」は、ホリデーシーズンを思わせる純銀製の鮮やかな赤い文字盤にローズゴールドのケースが組み合わされた。
 今回のオークションのために特別に作られた「テフヌート・グランド・ダム」は文字盤のエングレービングの素晴らしい技巧を見せてくれる。19世紀にモリッツ・グロスマンがふたり目の妻に贈った懐中時計をモチーフとし、文字盤インデックスの外周と内側に手仕上げのゴールド製の花模様を飾っている。ローマ数字のインデックスはニッケルシルバー合金に黒く施されており、インデックスの間には手仕上げのエングレービングで複雑な模様があしらわれている。そしてユリの形状をした細い青針は、手作業による削り出し、磨き、焼き入れで仕上げられている。

Contact info: モリッツ・グロスマン ブティック Tel.03-5615-8185