サルト文化の未来を象徴する新星 / コニサーズ・チョイス

イタリアのスーツを語るとき、真っ先に名前が挙がるのが、ナポリのルカ グラッシア。伝統的な仕立て技術とモードな感性を兼ね備えた若きカリスマはイタリアのサルト文化の再興を担う逸材だ。 今年、『サルトリア・イタリアーナ』(万来舎)という本が出版された。この本はジャーナリストの長谷川喜美さんが南北イタリア27軒の
サルトリアを訪れ、その歴史ともの作りへの思いをまとめたビジュアルブックである。以前、この本に関して長谷川さんにインタビューした際、ある事実をうかがった。「イタリア全土に存在するサルトは、年々8%ずつ減少しているといわれています。あと10年も経てば、イタリアのサルト文化そのものが途絶えてしまう可能性さえあると危惧されているのです」 そう、職人の高齢化と技術を継承する人材不足から、今やサルト文化自体の存続が危ぶまれているのだ。 そんな中、イタリアンスーツの聖地・ナポリに希望の星が現れた。その名は「ルカ グラッシア」。名だたるメゾンブランドのOEMを手掛けてきた名門サルトの3代目に当たる彼は、まだ30代半ばという若手ながら、世界中の洒落者たちを虜にしている。 人体にぴったりと沿う立体的なパターンや繊細な縫製が生み出す着心地もさることながら、特筆すべきはその補正効果にある。構築的な肩と胸が上半身を逆三角形に演出し、優美な曲線を描くワイドなラペルが胸を雄々しく見せる。そして人体に合わせて曲線を描く背中のフォルムは首から肩、肩甲骨を包み込むようにフィットし、後ろ姿をもエレガントに見せてくれるのだ。「実際以上にカラダをグラマラスに見せる」。ルカ グラッシアのスーツの愛用者はこう口を揃える。 ただ、注目を集める理由はクラシコな仕立て技術だけにあるのではない。ルカ グラッシアはサルトでありながら、ファッションブランドのようにシーズンごとにコレクションテーマを設定している。そのテーマに基づいてデザインされるスーツには、トレンドエッセンスが吹き込まれ、モードの薫りが漂うのだ。 サルトの伝統技術を受け継ぎながらも、デザイナー的なクリエイションを駆使した服づくりを行うルカ グラッシア。そのスーツはイタリアのサルト文化そのものの未来を象徴している。Contact info: エストネーション ☎03-5159-7800